赤坂御用地の木々が紅葉で色づくなか、秋の園遊会に臨む天皇、皇后両陛下=23年11月2日
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 天皇、皇后両陛下が主催する秋の園遊会が、赤坂御苑(東京・元赤坂)で開かれた。園遊会は春に続いて即位後2回目で、代替わり儀式や新型コロナウイルスの影響により秋の開催は5年ぶりとなる。シンガー・ソングライターの松任谷由実さんや将棋棋士九段の加藤一二三さん、漫才師の西川きよしさんら約1000人が招待され、両陛下や皇族方が声を掛けて回られた。なかでも、「ひふみん」こと加藤一二三さんとの雅子さまの会話の対応力に、マナーのプロが感嘆する。それはなぜか。

【写真】思わず見惚れる「真っ直ぐ」な姿勢の雅子さまの瞬間!

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 あいにくの雨模様だった春の園遊会とは打って変わって、快晴の空の下で行われた秋の園遊会。ユーミンの前に天皇陛下、続いて雅子さまがつかれると、天皇陛下が「どうも、松任谷さんどうも」「またお会いできてうれしいです」と声をかけられた。

園遊会に出席し、シンガー・ソングライターの松任谷由実さん(前列右から2人目)、将棋棋士の加藤一二三さん(右端)ら招待者と話す天皇、皇后両陛下=23年11月2日 代表撮影

 それに続けて、雅子さまは「昨年50周年のツアーをなさって……」とユーミンに話しかけられた。そのひと言に「さすが雅子さま」と感嘆するのは、大手企業のマナーコンサルティングや、NHK大河ドラマ・映画などのマナー指導も務めるマナーコンサルタントの西出ひろ子さんだ。

雅子さまは相手の立場に立たれて

「先に『お会いできて』と話しかけられたのも素晴らしいと思いましたが、すぐさま松任谷由実さんへの会話の糸口を投げかけられました。しかも、雅子さまが選んだのは『50周年ツアー』というお仕事のお話でした。

 お仕事の話であれば、松任谷由実さんが、園遊会という場所で緊張していたとしても会話がしやすいはずです。私は講習などで常日頃お話ししていますが、マナーとは相手の立場に立つことです。雅子さまは本当にいつも相手の立場に立っていらっしゃいます。相手が話したいであろう話題を振り、しかも話しやすいように柔らかく話しかけられています。これは、簡単にできることではありません」

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雅子さまの事前の準備と基本