ウクライナに続いて中東でも戦争が始まり、日々悲惨な映像を見る機会が増える中で、日本もどこで戦争に巻き込まれるかわからない、特に台湾有事が危ないと煽られると、論理的にはどうであれ、感覚的には、「確かに、戦う備えをするに越したことはない」と感じてしまう人は多いのではないか。
戦争に備えると一言で言うと簡単だが、実際にはさまざまな備えが必要になる。もちろん、自民党政府は、安倍晋三首相の時代から、着々と戦争の準備を進めてきた。それまではタブーだった数々の制度的な大変革も実現してきている。
安倍政権誕生以来これまでに戦争への備えがどれくらい進んだのか箇条書き的に振り返ってみよう。
・国家安全保障会議(NSC)設置法 2013年11月に成立したが、驚くべきことにあまり大きな議論はなされなかった。この会議では、外交安保の基本方針や中長期的な戦略を決めるだけでなく、いざ戦争を始めるという決定につながる緊急事態大臣会合が行われる。戦争開始を少人数の閣僚で効率的に事実上決めてしまう体制という意味で重要な戦争準備である。
・特定秘密保護法 こちらは、大議論が行われたが結局通ってしまった。NSCの議事内容を事実上半永久的に隠せる仕組みである。「知る権利」の侵害といったことへの批判が強かったが、それよりももっと直接的な実害がある。これによって、首相や関係閣僚は、非常に気軽に戦争開始を決定できるということだ。なぜなら、後で責任追及が行われても、どういう経緯で戦争開始に至ったのかが隠せるからだ。これも戦争開始を容易にする準備である。