着実に戦争の準備を進めている岸田文雄首相

・防衛費GDP比2%への増額 安倍元首相は、GDP比1%の制約は課さない方針だとしていたが、岸田文雄首相は、これを一気に2倍の2%に増やすことにした。軍事大国中国との戦争をしようというのだから、2%でももちろん足りない。その先には、3%、4%と際限のない軍拡が待っている。

・経済安全保障推進法 22年5月に成立した。ほとんど反対がなかった。日本の経済を戦争に備える体制に作り変えることを目指している。重要物資の安定供給、基幹インフラ役務の安定的提供、先端的重要技術の開発支援などを掲げているが、戦争するための経済統制に使うために、段階的な改正が行われることになるだろう。憲法改正以前に国家総動員体制の基礎を作ったと言っても良い。 

・防衛生産基盤強化法 戦争するために一番大事な武器弾薬を国内で生産する体制の整備を行う法律だ。今年(23年)6月に成立している。これも反対がほとんどなかった。武器製造企業が赤字にならないようにいろいろな名目で補助金を出したり融資をしたり、輸出の支援を行ったりという至れり尽くせりの制度だ。極め付きは、国営武器工場をつくる規定を盛り込んだこと。全国に国営武器工場が広がり、戦争になって武器が売れれば地域が潤うという仕組みになる。国民が戦争を支持する素地を作ることになる危険な制度だ。

 このように並べると、ものすごい勢いで戦争の準備が進んでいることがわかる。

 しかし、これで終わりではない。来年の通常国会では、セキュリティ・クリアランス法案(まだ名前がどうなるかわからないが)が提出される予定だ。国家の機密情報や、先端技術の流出を防ぐため、重要な情報を扱う政府の職員のみならず民間人でも、その「信頼性」を確認する制度が創設される。民間人の家族関係、酒癖、女性関係、借金、ギャンブル嗜好など普段の行動を徹底的に調べる制度が導入されるのだが、その範囲はかなり恣意的に広げられる可能性があり、また、戦争に非協力的な市民を制度的に差別する仕組みになる恐れが極めて強い。諸外国と違って、厳格な歯止めの措置が入らず自民党政府のやりたい放題になる可能性が高いので最大限の警戒が必要だ。その意味では、特定秘密保護法を上回る危険な制度なのだが、立憲民主党などは、むしろ成立を急げと言っている。どうなっているのか。

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これが提案されたら戦争への最終段階