・武器輸出三原則廃止と防衛装備移転三原則の創設 「我が国の安全保障に資する場合」などという抽象的な基準で、かなり恣意的に武器を輸出できることにしてしまった。これによって、日本の平和主義の根幹をなす原則が一つ崩壊したと言っても良い。しかも、見直しの検討表明からわずか4カ月足らず。あっという間にこの大転換が決まったのだ。当初は、紛争当事国向けや殺傷力のある武器は輸出しないとされた。当たり前だと思うかもしれないが、今や、ウクライナ向けなら良いだろうというような議論で、いずれの制約もはずしてしまう方向で検討が進んでいる。
・集団的自衛権行使容認 いわゆる安保法制の議論はかなり紛糾したが、15年9月に関連法が成立した。100%違憲と言っても良い「解釈改憲」という卑劣な手段で強行した。これにより、台湾有事で米中戦争が始まった場合、日本への攻撃がなくても自衛隊が米国と共に戦う道が開けた。
・産めよ増やせよ政策 子育て支援という美しい言葉で語られているが、そうした政策にはおよそ無縁だと思われる自民党のオヤジ議員たちも一緒に掛け声をかける裏には、戦争するためには若い兵士が必要だという戦争思考がある。このため、とにかく、女性に子供を産めという圧力が高まった感がある。産まない女性は非国民だと言いたい議員も多いのではないか。しかし、そうした女性の立場を無視した出生率向上策は、結局何の効果も上げていない。今のままでは、長期の戦争は無理である。
・ODAの軍事利用 途上国支援という美しい制度の中に、日本からの武器供与を潜り込ませる。日本と同じ武器体系を作ればその国との軍事的連携がやりやすくなる。
・敵基地攻撃能力容認と長射程ミサイル配備 これも従来は違憲だと考えられてきた政策だ。集団的自衛権と同じくらい戦争へのリスクを高める政策だが、集団的自衛権の時とは比べものにならないほど反対が少なく、あっという間に決定された。言葉はいろいろだが、要するに北京を攻撃する準備である。敵の首都を攻撃できなければ、戦争はできない。その制約を取り払ってしまった。