もちろん、ここまでやっても戦争をするにはまだ足りない。今後もいくつもの政策が導入されるだろう。その中には、国民が強く反発しそうなテーマも含まれる。それらを実現するためには、もう少し、戦争が始まるという危機感を高める必要がある。逆に言えば、国民を「戦争間近だ!」という錯覚に陥れれば、最後は徴兵制でも比較的混乱なく成立するのではないか。というのが、自民党の読みなのだと思う。
さらに、任期中に憲法改正を実現したいという岸田首相なので、近々何らかの改憲条項が提起される可能性は十分にある。憲法9条は、実は改正しなくてもほとんど骨抜きになっているので、これにはこだわらないかもしれない。むしろ、戦争をするという観点では、戦時において首相に魔法の杖を与える緊急事態条項にこだわるのではないだろうか。それさえあれば、徴兵制はもちろんその他の権利制限的政策も可能になり、ほとんどの戦争準備が決定できる。これが提案されたら、いよいよ、戦争への最終段階だと考えるべきだろう。
先日、自民党の閣僚経験のある議員と話していたら、こんなことを言っていた。
「古賀さん、本当にこの国はどうなっちゃうんだろうね。憲法とは全く相容れないような政策があれよあれよという間に実施されていく。憲法なんてあってもなくても同じじゃないか。話が通じそうな同僚議員に話すと、確かにそのとおりですね、と返す人も多い。でも、どうやってこの流れを変えるのかという話になると急に口が重くなって、会話が途切れるんだよ。戦前のことは知らないけど、こうやって戦争に進んじゃったのかね」
戦争への動きが本当に始まった時、誰かが止めてくれると考えるのはやめた方が良さそうだ。我々は今何をすべきか。真剣に考えるべき時が来ている。