食べ方の「先入観」を捨てることも必要
高橋さんによると、味覚は家でどんな味付けや食べ方をしてきたかなど、環境の影響を大きく受けるため、千差万別で「正解」は存在しない。クリームシチューの食べ方もそれぞれである。
とはいえ、分ける派の人から、かける食べ方を敬遠する声が少なくないのも事実。筆者もかける人がいるとは想像もしておらず、正直驚いた。
高橋さんは、「恐れずに、先入観を捨てて食べていくことで『食領域』が広がり、食をより楽しむことができるようになります」と指摘して、こう続ける。
「例えば楽しい席で食べたもので、そのときは味がイマイチだと感じても、食べたことが楽しかったことは脳がちゃんと覚えている。すると、それを食べると楽しかった記憶が呼び覚まされるため、いつの間にか好きになったりするのです」
味覚というものは、実に奥深いのだ。
例えば、いつも食べているハンバーガーをひっくり返して食べると、ソースなどが舌に伝わる順番が変わるので、味わいが変わるそう。高橋さんは最近、ブラックチョコレートとプロセスチーズを一緒に食べてみたそうだが、脂質が混ざりあってミルクチョコレートのようになりおいしかったという。
「ちょっとした工夫で味わいは変わります」