感想を一言で言えば……「緊迫感ありすぎ!」である。性を真面目に面白く語る番組を! という意気込みはあるが、性を真面目に語ることが最も苦手な人たちが、性を面白く語りたいと思ってもそれがあまり許されない空気のなかで、自分を発揮できないでつらそう……というのを、視聴者に感じさせてしまうものであった。先のフェミニスト嫌いの男性も、どんな過激な人なのかと思って構えていたが、カメラの前ではシュンとし、おとなしい雰囲気の人だった。番組序盤、一言も喋らなすぎて松本さんに心配されていたほどである。

 内容はいたってふつう、真面目、革新的でもあった。取材協力は性教育の第一人者の村瀬幸浩先生。私は大学時代に村瀬先生の性教育を受けたことがあるが、長年にわたりこの道一筋でやってこられた方である。村瀬先生もいたからか、男性が床にペニスをこすりつけてマスターベーションすることの弊害や、女性の顔に射精することがいかに危険行為であるかなどがテロップで流れるなど、様々な配慮もされていた。また、3人の女性出演者が堂々と自分の言葉で語っているのは清々しいものだった。だからこそ、余計に残念なのが、多分、番組制作者の方々が「サービス」「お笑いパート」として採り入れた男のエロトークである。10代の頃にペニスを見せ合った話や、男子クラスで先生にオナニーするときは右手でばかりするとペニスが曲がるよと言われた話とか……こういう話、居酒屋で隣の男性集団が酔っぱらってガハハハと話すようなものではないのか。性の話というと露悪的な暴露話か、自分のペニスの話しかないのかよ……とうんざりするのである。また、「子どもと性についてどう語るか」、というコーナーでは、8歳の娘がいるという先の男性出演者が、家でスマホでエロ画像を見ているときに娘がのぞきこんできて「変態!」と言われた話をしていた。家の中で娘と同じスペースで性的画像を見るのは虐待と言われてもしかない行為だということは指摘しておきたい。

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男が性を真面目に語ることの難しさ