また、松本さんが、周りを伺いながらかなり控えめに性を語り(というか語れず)、「初潮のときはお赤飯を炊くとか・・・」とか、かなりずれたおじいさんのような話をする姿も、「性の話を男が真面目に語ること」の難しさをリアルに気が付かせてくれた。

 それにしても、海外の性事情は面白かった。海外のテレビ番組を紹介するコーナーだが、モザイクのかかったペニスが大量にでてきた。海外で放送されるときにはモザイクを入れないものに何故モザイクを入れるのかについても葛藤も含めた調子で、NHKらしく真面目に説明していた。

 その流れのなかで、オランダで子ども向けの性教育の本が紹介された。開くと紙の男性器の図が立体で浮かび上がるつくりだったのだが、サーヤさんが「女性のは?」と指摘したのは良かった。もしかしたら女性器は見せる予定はなかったのではないかと想像する。画面が切り替わり開かれた女性器の全体像。正面からハッキリと映されてはいなかったけれど、あれは、女性器正面が画面いっぱいに映った日本で初めてのことではないか。

 その前の映像で、オランダの学校での性教育の授業で使われているクリトリスの図解や、女性器の正面図が映っていたことも、日本の放送では初めてではないだろうか。

 そして、私は、この耳ではっきりと聞いたのである。「クリトリス」。NHKで、音声で、明確に、流れたのである。

 男のどうでもいい暴露トークなどにたよらなくたって、セックスはきっと面白く、楽しく語ることができるのだと思う。私たちには知らないことがたくさんある。語り方がわからないこともたくさんあるのだ。番組終了後、ラジオディレクターに「クリトリスって、NHKで言ってた」と連絡すると、「じゃ、解禁にしましょう」と返事がきた。そういう世界だ。発すること、一歩前に進むことで、より良い方向を探りながらいくしかない。性の世界とはまだまだこの国で、そんなところである。

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