
時間を奪われていた
高校まで野球に没頭し、プロ野球選手になることも夢見ていた小島さんだが、結局その夢は諦め、浪人をして大学を目指していたときに読んだ本が『小さいことにくよくよするな!』。
「いわゆる自己啓発書的なものを読んだのはこれが初めてでした。『百年後は、すべて新しい人々』という項目が印象に残っています。100年後には今いる人間はほぼいなくなっている、と考えれば今ある悩みなんてなんとちっぽけなことか、と思うことができました」
最後に紹介してくれたのが児童書の名作、『モモ』。
「以前、とにかく自分で自分を忙しくさせていた時があったんです。仕事が休みでも何か仕事につながるものをやらなきゃ、と思って隙間時間を埋めていました。時間を大切にしている、と思っていたのに、実は時間を奪われていたんですよね。『モモ』は『なんでもない時間を大切にしよう』と教えてくれます」
(編集ライター・江口祐子)
小島よしおさんセレクト5冊
『弱者の戦略』稲垣栄洋/新潮選書
地球環境が激変してもあらゆる手段を使って生き残り続ける弱者たち。悩めるビジネスパーソンにも刺さる
『琥珀の夢 小説 鳥井信治郎』伊集院静/集英社
「やってみなはれ」精神を貫き、日本の洋酒文化を切り開くために奔走した主人公の人生に胸が熱くなる
『JALの奇跡』大田嘉仁/致知出版社
著者は京セラでは稲盛和夫の秘書を務め、JAL再建時は会長補佐を務めた。JAL復活までの一部始終を明かす
『小さいことにくよくよするな!』リチャード・カールソン著、小沢瑞穂訳/サンマーク文庫
全米で500万部を突破したベストセラー本の翻訳書。小さなことにとらわれないための実践的なヒントが満載
『モモ』ミヒャエル・エンデ作、大島かおり訳/岩波少年文庫
廃墟に住む少女が時間どろぼうに盗まれた時間を人間に取り返していく。時間に追われる現代人の必読書
※AERA 2023年10月9日号より抜粋