小島よしお(こじま・よしお)/お笑い芸人。沖縄県生まれ、千葉県育ち。早稲田大学教育学部卒。著書に『小島よしおのボクといっしょに考えよう』(朝日新聞出版)など(撮影/写真映像部・松永卓也)
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 読書の秋。テレビや映画、YouTubeなど主に映像系の分野で活躍する本好き3人がセレクトした、悩みに効き、人生を豊かにする本を紹介する。1人目はお笑い芸人の小島よしおさん。AERA2023年10月9日号より。

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「そんなの関係ねぇ」や「おっぱっぴー」と叫ぶ姿が印象的な小島よしおさん。近年はYouTubeチャンネル「小島よしおのおっぱっぴー小学校」や子ども向けお笑いライブの開催などで、子どもからの人気も上昇中。変化の激しい芸能界でどう生き残るか悩んでいた時に、ある本を読んで視界がパッと開けたといいます。それが『弱者の戦略』。

「僕が芸能界で注目されるようになったのは2007年。そこからは打ちのめされ続けていました。現場現場でいわゆる強者の人たちを前に何もできずに終わってしまったり、喋っても滑ったり。仕事も減っていって、このままじゃダメだと色々新しいことにチャレンジしている時期でした」

 本書は農学博士の著者が、強者ではない動植物が生き残っていく様を書いたもの。

「たとえば雑草。『打たれ強い』イメージがありますが、雑草ってそもそも圧倒的に競争に弱い植物だったんですね。だから強い植物が生えることができないようなコンクリートの隙間とか日陰とか乾燥してるところを選んでいる。つまり、戦略を立てて生き延びているんです。あえて人に踏まれるようなところに生えて、種を散布するのも戦略。結構したたかなんです。ああ、自分と似ているな、これでいいんだ、とすごく背中を押された気持ちになりました」

 子ども向けのライブを増やしていったところ、絵本の出版依頼も来るように。

「ちょうどその絵本を製作しているタイミングで読んだのが『琥珀の夢』。伊集院静さんのエッセイは好きでよく読んでいたのですが、長編は初めてでした。サントリー創業者・鳥井信治郎さんの話なのですが、作るだけでなく、届けるまでが商人の仕事や、と書いてあったことにびっくり。そこで絵本も書店回りやイベントも積極的にやったところ目標値を達成し、第2弾の製作も決定しました」

 経営者では稲盛和夫さんのファンだという小島さん。

「稲盛さん自身の著書もたくさんありますが、稲盛さんの凄さがよくわかるのが『JALの奇跡』。80歳近くで経営再建に乗り出した心意気に胸を打たれます」

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