札幌ドーム

 日本ハムの新旧本拠地の明暗が早くも分かれている。今年から新たなホームグラウンドとなったエスコンフィールド北海道(以下:エスコン)の評判は高く、多くの人が足を運んでいる。一方で旧本拠地の札幌ドーム(以下:ドーム)は市民の懸念通り、厳しい船出となった。

【写真】本拠地移転から25年なのに、今でもファンに愛されている球場がこちら

 北海道北広島市にできたエスコンの話題は、今季NPBにおけるトップクラスのニュースだった。開閉式の屋根を備えた内外野総天然芝である球場自体の魅力はもちろん、周辺にはホテルや多くの娯楽施設が併設。野球開催日以外でも多くの人々が集う1つの町「北海道ボールパークFビレッジ」もできつつある。

「新しいことをする時には問題が出るのは当然。エスコンもバックネットの位置が近過ぎたり新駅設置の遅れが生じている。しかしそういう問題をみんなで乗り越えられるだけの魅力が詰まっている。多くのファンが足を運びメディアが取り上げてくれたことが勇気をくれている」(日本ハム関係者)

 開場前にはバックネットから本塁までの距離が足りない問題が発生し、アクセス面でも早急に解決すべき部分もあるが、それでもファンからの評判は上々だ。

「スタンドとの距離はもっと近くても良いくらい。アクセスもJR北広島駅からは少し距離がある(約2km)けど知人と話をしながら歩くのが楽しい。時間を調節すればシャトルバスも空いている時間がある。新駅設置は待ち遠しいけど今のままでも大丈夫。エスコンは楽しい場所なので何度でも行きたい」(エスコン周辺で開場待ちをしていたファン)

 日本ハム側が描くビジョンを多くのファンが理解、共有している。今後は課題や問題点が時間とともにクリアされ数年後には理想により近い野球場ができ上がっているはずだ。

 一方で“日本ハムなき”ドームに関しては芳しい話が聞こえてこない。当初の試算では今年度は約3億円の赤字だが2024年度には黒字に転じ、以降の5年間で900万円の黒字を見込んでいた。日本ハム主催試合はなくなるが、昇降式の大型暗幕でドーム内を仕切る「新モード」を採用し、イベント数増加も期待されていたが……。

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五輪へ向けての“新計画”に不安も…