「イベント数の激減は明白。自信満々だった新モードでの利用も年度明け段階では1件も決まっておらず、初開催が9月10日のラグビーW杯・日本対チリ戦でのパブリックビューイングだった。今後も同様の状態が予想されるため赤字額は間違いなく増えるでしょう」(大手広告代理店関係者)
「ラグビーW杯でのパブリックビューイングも1860人しか集まらず閑散とした雰囲気だった。入場無料で開催されたイベントの費用は札幌ドームと札幌市の持ち出しで、結果的にはドームへ税金を投入しているのと同じこと。今後も同じ形式でイベントを開催するなんて考えられない」(スポーツマーケティング会社関係者)
新モードが不評なことに加え、札幌ドームをホームとして使用するサッカーJ1・北海道コンサドーレ札幌も人気抜群という感じでもないのは気がかり。今季は観客数1万人台の試合がほとんどで、2万人を超えたのも大規模招待イベントを開催した第18節のセレッソ大阪戦(2万4509人)と第23節のサガン鳥栖戦(2万1895人)の2試合のみだ。
暗い見通しも多い中、さらに市民が懸念する話もでている。2030年札幌冬季五輪・パラリンピック招致に向けドーム敷地内に新月寒体育館を建設するというものだ。5日には2030年の招致は断念したと報道されたが、2034年以降の開催を目指して仕切り直すことになった。
「(五輪を)札幌へ招致できるかは未知数。新月寒体育館という新たな箱物を作ってもその後はどうするのか?札幌ドームさえ黒字化できない札幌市が、また1つ負の遺産を抱えることになるはず。その場合には札幌市民の税金が投入されるという負のループが繰り返されるかもしれない」(スポーツマーケティング会社関係者)
1972年の札幌冬季五輪でも使われた現月寒体育館の老朽化に伴った動きだが、整備費約400億円と高額のお金が必要となるという。五輪以外では、プロバスケットボールリーグBリーグのレバンガ北海道(B1に所属)が本拠地利用するとされている。しかし、これまでのドームを巡る札幌市の立ち振る舞いを見ていると、新月寒体育館が黒字化できるか心配な部分も多い。