放送作家の鈴木おさむさん

 鈴木おさむさんが、今を生きる同世代の方々におくる連載『1970年代生まれの団ジュニたちへ』。今回は、息子の金銭感覚と友達の話。

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 先日、8歳の息子・笑福の授業参観に出かけた時のこと。道徳の授業をしていました。先生が「皆さん、好きな言葉はなんですか?」と聞きました。

 今の小学2年生はどんな言葉が返ってくるのだろう? 子供も授業参観だということを意識しているだろうから「お母さん」とか「お父さん」とかが溢れるのかなと思っていたのですが、最初に「ゲーム」と誰かが言ったことをきっかけに、そこから「ゲーム」「俺もゲーム」「ゲーム」とゲームの連打のあとに、「YouTube」「インスタ」と続いていき、誰かが「Google」と、言った時にはさすがに笑ってしまいました。

 でも、気を遣って「お母さん」「お父さん」とみんなが言うよりも、「自由」であることにちょっとうれしかったりしましたね。

 今日は子供のお金の話。皆さんは子供の頃、お小遣いをいくらもらっていましたか? 僕は小学1年の頃から毎日おばあちゃんがお小遣いをくれました。なんと毎日200円くれたのです。これってすごいことですよね。毎日200円貰うと、駄菓子屋に行ったら買えないものはありません。

 200円を2日ためると400円なので、2日分のお小遣いで、ジャンプコミックスが1冊買えるのです。だから当時流行った漫画はとことん買いまくりました。「アラレちゃん」「キン肉マン」「リングにかけろ」など、僕の本棚には漫画が溢れかえりました。そして当時、レコード(EP)は1枚700円。なので、4日ためれば1枚買って100円おつりがくる。レコードも買いまくりました。当然、周りの友達からは羨ましがられました。

 お小遣いを1日200円もらっていたことを話すと、今、驚かれます。

 お小遣いを200円くれたおばあちゃんには本当に感謝しています。あの頃、漫画や音楽、エンタメに触れまくれたことによって、自分がこの仕事を選び、放送作家として、様々な企画や物語を作ることを出来たのはあの時の経験がかなり大きい。エンタメ貯金が出来ていたからだと思っています。

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鈴木おさむ

鈴木おさむ

鈴木おさむ(すずき・おさむ)/放送作家。1972年生まれ。19歳で放送作家デビュー。映画・ドラマの脚本、エッセイや小説の執筆、ラジオパーソナリティー、舞台の作・演出など多岐にわたり活躍。

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