そして、笑福です。笑福にはお小遣いをあげていません。が、欲しいものは比較的買え与えています。特にゲーム。ゲームは僕も好きなので、ついつい僕が買ってしまうと、それが笑福の物になってしまったり。
プレステ5も自分が欲しくて買うのですが、結果、笑福は自分の物だと思っています。
僕らはお小遣いを上げていませんが、実家に帰ると、お父さんやお母さんからお金をもらうことも多い。なので、笑福には大きな貯金箱を買ってあげました。そこにお金を沢山ためています。
そして、この1年、コンビニなどで自分で物を買う楽しさを覚えました。ただ、今は覚え始めなので、金銭感覚があまり理解できていません。
欲しいものがあったらその貯金箱からお金を取って買うというルールにしたんですが、放っておくと、1回のコンビニの買い物で500円近く使ってしまった時もあったので、その時は500円の大きさを説明しました。が、こればかりは、時間がかかりそうです。
で、先日、うちの家に友達が数人来ていた時。コンビニに何か買いに行こうという話になりました。すると笑福は、貯金箱から400円取ろうとしました。500円の大きさを説明してからそんなに経っていません。そしたらお財布を忘れたという友達に、笑福が「400円貸してあげるよ」と言ったのです。
つい腹を立ててしまい
お金を稼ぐことの大変さは妻も笑福にかなり言っています。僕は軽く400円を「貸す」と言ったことに、つい腹を立ててしまいました。
笑福に「お金ってそんなに簡単に貸していい物じゃないから」と貯金箱ごと取り上げてしまいました。
笑福はとんでもなく落ち込んでいます。僕がそんな笑福に、お金についての思いとか、ガッカリしたことを伝えていると、僕のところに友達の一人が寄って来て言ったのです「お父さん、ちょっと言い過ぎじゃないかな」と。
その一言でハっとして。友達が来ていたのに、空気を悪くしてしまったことを反省しました。
その友達に「申し訳ない」と言い、笑福に100円渡すと、買い物に行きました。
笑福たちが行ったあと、自分のことも反省しましたが、ちょっと嬉しい気持ちになったのです。あの時、僕に注意しに来てくれた友達。笑福にはそんな友達がいるんだと。
育児は育自と言いますが。また気づかされました。友達、ありがとう。
■鈴木おさむ(すずき・おさむ)/放送作家。1972年生まれ。19歳で放送作家デビュー。映画・ドラマの脚本、エッセイや小説の執筆、ラジオパーソナリティー、舞台の作・演出など多岐にわたり活躍。パパ目線の育児記録「ママにはなれないパパ」(マガジンハウス)、長編小説『僕の種がない』(幻冬舎)が好評発売中。漫画原作も多数で、ラブホラー漫画「お化けと風鈴」は、毎週金曜更新で自身のインスタグラムで公開、またLINE漫画でも連載中。「インフル怨サー。 ~顔を焼かれた私が復讐を誓った日~」は各種主要電子書店で販売中。コミック「ティラノ部長」(マガジンマウス)が発売中