地方創生担当相に内定し、首相官邸に入るときの自見英子氏=2023年9月13日
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 岸田文雄首相が行った内閣改造で、数少ない「目玉」とされるのが、女性閣僚5人の登用だが、そのうちの一人、自見英子・地方創生担当相にさっそくスキャンダルが持ち上がっている。昨年の参院選をめぐる選挙運動に「事後買収の行為があった」などとして、東京地検に刑事告発されていたというから穏やかではない。

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 自見氏は小児科医として勤務した後、2016年の参院選で日本医師連盟の組織内候補として初当選し、昨年7月の参院選では21万票あまりを獲得して2期目の当選を果たした。そして今回の内閣改造で初入閣した。

 自見氏が告発されたのは、22年の選挙後に提出した7月29日から8月1日までの選挙運動費用収支報告書の記載、使途だ。

「情報公開で調べていくと、とんでもないことが明確になった」

 自見氏を刑事告発した上脇博之神戸学院大学教授がそう話す。

 同報告書によると、自見氏は自身の政治団体「ひまわり会」から約600万円の寄付を2回にわけて受けており、1回目は7月29日で約589万円。自見氏は一方で選挙運動費用として、ひまわり会を通じて、政治家や行政の広報・PRなどを手掛けるコンサル会社(東京都)に約589万円を支払っていた。

 情報公開などで、上脇氏がその使途を詳細に調べてゆくと、この会社が作成した、

【参院選振り返りリポート】

 という資料が見つかった。

 目次には、

 1.狙い 2.戦略 3.プロジェクト結果 4.今後

 とある。

 さらに、狙いの中に「目的」として「1人の国会議員として身近で、近づきやすい人物像をアピール」、「方法」として「現場での撮影・編集・配信」「毎日のテーマが異なる動画内容で構成・応援したくなる雰囲気を映す」などと書かれている。

 そして、プロジェクトの結果では、「それぞれの動画でメッセージジャンルを絞ることで政策ターゲットにより深く訴求」「選挙期間中を通じてポジコメが非常に多かった」などと評価している。

 つまり、自見氏は、参院選での当選を目的としたSNS戦略などを、コンサル会社に依頼していたととれるわけだ。

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上脇教授が説明する公選法に抵触する部分とは