結果、子規を媒介として己の積年を顧み、夏井先生の鋭い洞察に導かれながら傾城、辻君、禿など、生ある者の奥底に辿り着かんと邁進の酒を飲み続けた小生であった。対談の最中、一句、一句にヒロインが現れては消え、消えては現れていった。彼女らは現存する俳優(女)には演じることのできない哀切感とささやかな笑みを小生の心に残してくれた。本書に綴られている女性を掬い上げ色町の人間模様を脚本にし、彼女たちを語る映画を創ることができればと思うのである。

小生の妄想と想像は更に進む――。

それは、『よもだ』である。

「よもだ」なジィジィがいて、

「よもだ」なバァバァがいて、

「よもだ」な孫がいて、

「よもだ」じゃない孫のガールフレンドがいて、

お父さんと、お母さんはどちらかが「よもだ」である。

 孫とガールフレンドは同級生で、同じ部活、俳句部に所属。もちろん場所は俳都松山でなくてはいけない。二人は俳句となると何故かケンカばかりしている。

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