全てが順調だったわけではない。春先から絶対的エース・青柳晃洋は状態が上がらず、西勇輝も打ち込まれる試合が続いた。中軸を打つ佐藤輝明、新外国人のシェルドン・ノイジーも打撃不振に。侍ジャパンでWBC世界一に貢献した守護神・湯浅京己が度重なる故障で長期離脱し、正捕手の梅野隆太郎も8月13日のヤクルト戦(京セラドーム)で左手首に死球を受け、左尺骨骨折で今季絶望となった。だが、主力の不調やケガでの離脱というアクシデントをはね返す。昨年まで白星がなかった大卒3年目の村上頌樹、大竹耕太郎が2ケタ勝利の大ブレーク。セットアッパーから抑えに回った岩崎優が抜群の安定感を見せ、野手陣も奮闘。ドラフト1位の森下翔太が殊勲打を連発し、坂本誠志郎が好リードで投手陣を盛り立てる。近本光司、中野拓夢は12球団最強の1、2番コンビだろう。岡田監督が中野の二塁コンバートに伴い、遊撃で抜擢した木浪聖也が攻守で想定以上の働きを見せていることも大きなプラスアルファだった。
岡田監督は04年から阪神の「1次政権」で指揮を振るい、05年にリーグ優勝を飾ったが、08年に13ゲーム差をひっくり返されて巨人に逆転優勝を許した責任を取り、辞任している。クライマックス・シリーズ第1ステージで中日に敗れた際は涙を流し、握手をする藤川球児ら選手たちも号泣していた。