スポーツ紙デスクは、星野氏と岡田監督の違いについてこう語る。

「星野さんは勝つ事に特化したチーム作りで、外部からの補強に積極的に動く。ロマンチストだと思います。魅せて勝つではないけど、能力の高い選手をそろえて勝利への執着心を前面に出した野球をする。怒っているのもチームの士気を上げるためのパフォーマンスだった部分がある。一方で、岡田監督は育成と勝利のどちらも追い求めるリアリスト。補強する選手に過度な期待を掛けず、肩に不安がある中野を二塁にコンバートしたり、大山悠輔を一塁、佐藤輝明を三塁に固定するなど現有戦力で勝つ確率を高める戦略家です」

 そしてこう続ける。

「得点力を上げるため、四球を査定ポイントに入れたアイデアも絶妙です。救援陣、代打の起用法を含めたベンチワークに長け、接戦に強い。星野さんと指揮官としてのタイプは違いますが、15年ぶりに阪神の監督に復帰して覇権奪回へ導いた手腕は凄い。過去の阪神の監督で在任期間中に2度のリーグ優勝に導いた指揮官は岡田さんと藤本定義さんしかいません。この点でいえば、間違いなく阪神史上№1の名将でしょう」

 リーグ優勝を達成しても戦いは続く。CSを勝ち抜いて、日本シリーズへ。阪神が日本一に輝いたのは85年の1度のみだ。バース、掛布雅之、岡田監督のクリーンアップを中心とした強力打線で打ち勝つ野球だった。38年の月日を超え、短期決戦でどのような戦いを見せるか。65歳の名将の血が騒ぐだろう。阪神ファンは「アレ」の向こう側を楽しみにしている。

(今川秀悟)
 

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