ラグビーは社会の縮図
3歳で兄の通う福岡のみやけヤングラガーズへ連れられ、越境入学した佐賀工高、上京して入った早大と、戦う舞台を変えるたびにこの競技の深淵に触れてきた。その流れで有名になって不便も知ったが、激動の渦中に得たものもあった。
「メディアに出させていただくことで、いままで感覚的だった自分にとってのラグビーの魅力が精査され、表現できるようになったのは、すごくありがたかったなと思います」
ラグビーを一言で表すなら。あの頃も、8年が経ったいまも、答えに迷いはない。
「多様性です」
力自慢、パスやキックの名手、韋駄天と、ポジションによって様々な個性が請われる。多くの場所で語ってきたであろう論旨に、実感、熱量を込める。
「トライの30秒前くらいから巻き戻して見るのが、一番、面白い。あそこに、ラグビーの本質があると思っているんですよ。こいつのこの動きがあったからトライ取れたんだな……とか。スポットが当たる人間も当たらない人間もいるけど、皆がチームのためにやっている。社会の縮図だとも思います」
(ラグビーライター・向風見也)
※AERA 2023年9月18日号より抜粋