現段階では、AIに任せることは任せ、その分、人間にしかできない創造的なことに専念できることがメリットとして挙げられるが、果たしてそのメリットを享受しきれるのだろうか。汎用人工知能以降は、任せられることが著しく増え、創造的なこともこなせるようになる。それに負けじと、AIをツールとして能力を磨く人もいる。しかし、「任せてからのその先」を見いだせない人も現れ、ただ楽になる、任せるだけの現象も目立ち始める。
当面の間は「人間の人工知能化」と捉えることができそうだが、人工知能が画一的な機械にとどまらない能力を持ったとき、もはや人工知能化という考え方は適さなくなる。今でこそ「人間が人工知能化する」は「画一的な思考」に警鐘を鳴らすようなニュアンスを含んでいるが、今後、人工知能が人間の知能をはるかに上回るフェイズに差し掛かると、人間は人工知能に寄せることができなくなるからだ。
人工知能に追いつけなくなると、ただ単に、画一的人間が創造的人工知能に凌駕されるようになる。人工知能の能力が人間の理解不能なレベルに達し、その差が明確に開いたとき、人類は進化を諦め、〝退化〞へと向かうことになりかねない。