中央政府が流した情報は、中国国内にはある程度浸透したと言えそうだ。しかし、国際的に見れば、中国が発信した情報に対して疑いを持つ意識が広がり、改めて中国という国の特殊性が広く認識される形になったと見られる。

「つまり、科学的根拠のない処理水放出批判は、悪影響のほうが大きかったわけです」

 そして飯田さんは、「おそらく」と念を押して続けた。

「今、中国政府はその状況に気づき、どうしたものかと考えている」

二階氏訪中を阻む嫌中感情

 では日本は、中国にどう対応すべきなのか?

「まず、対話を通じて中国の対応を緩和させる。それが無理であれば、国際ルールに基づいた対応をとる。長期的な国益を考えれば、それがベストなやり方だと思います」

 報道によると、岸田首相は中国に独自のパイプを持つ自民党の二階俊博元幹事長に対して中国訪問を要請した。

「専門家同士の話し合いや二階氏の訪中を通じて、振り上げた拳(こぶし)をゆっくり下げるチャンスを与える。そのような外交努力を尽くしても中国が非合理な対応を改めなければ、WTO(世界貿易機関)のルールに基づいた対応をとる。そうすれば、中国が国際経済秩序に明らかに反する行動をとったということが各国に理解されます」
 

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批判をフェードアウトさせる可能性も