巨人の原辰徳監督
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 巨人・原辰徳監督が2日のDeNA戦で、8 点をリードされ敗色濃厚の八回に野手の北村拓己内野手を登板させたことについて、球界OBやファンから賛否の声が飛んでいる。勇気ある決断か、試合を投げたと取るか。原監督に長く仕えた「戦友」に、この采配をどう見たのかを取材した。

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 原監督は8点差をつけられた八回、この試合の8番手として野手の北村をマウンドに送った。残っていた勝ちパターンの投手2人を温存した形で、原監督は試合後、北村に感謝の言葉を口にしたが、ファンや球界OBからは理解と怒りの声が交錯した。

 公式戦で野手がマウンドに上がることは大リーグでは珍しくない光景だが、日本ではなじみが薄い。

「『試合を捨てた』『ファンをなめてるのか』と腹が立ったファンの方もいるでしょう。球界OBから怒りの声が出ることも理解はできます。投手はマウンドに、野手はバットにプライドを持っています。お客さんがお金を払って観に来てくれている、というプロとしてのプライドもあり、選手にとっても簡単に納得できる采配ではありません。原監督も当然それは分かっていて、すべてをくんだうえで批判覚悟の決断をしたのだと思います」

 原監督の采配について率直な思いを話すのは巨人で長年、スコアラーを務め、その後フロントに転じた三井康浩さんだ。

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國府田英之

國府田英之

1976年生まれ。全国紙の記者を経て2010年からフリーランスに。週刊誌記者やポータルサイトのニュースデスクなどを転々とする。家族の介護で離職し、しばらく無職で過ごしたのち20年秋からAERAdot.記者に。テーマは「社会」。どんなできごとも社会です。

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