三井さんは第一次原政権(2002年~)と第二次政権(06年~)の初期、チーフスコアラーとして原監督を支えた。09年の第2回ワールドベースボールクラシック(WBC)では原・代表監督から直々の要請を受けてチームに帯同。大会中、不振にあえいでいたイチローから助言を求められるなど、縁の下で大会連覇を支えた原監督の「戦友」である。

 3年ぶりのリーグ優勝を掲げた今季の巨人だが、クライマックスシリーズ(CS)出場も微妙な状況だ。 三井さんは、「常勝」を厳命され続けてきた巨人には、負けられないという空気が球団全体にあり、ましてや2年続けてCSを逃すことは許されないと指摘。 敗色濃厚の試合で、投手陣を“無駄遣い”はできない。

「巨人からトレードで他球団に行った選手らから聞いた話では、他球団では連敗しても帰りのバスの雰囲気はそこまで重くはならない。でも、巨人は一敗しただけでものすごく重たい雰囲気になると。そうした巨人ならではの想像を絶する重圧もあり、翌日以降を考えた決断が必要な局面だったとも思います」と話す。 

 加えて三井さんが言及するのは、中継ぎ陣の負担だ。一試合で何度も肩を作り直し、気持ちも作り直して登板に備える中継ぎ陣の負担は、球団幹部やチームメートからも理解されづらいという。

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「無理をしていることが自分でも分からない」