国民民主党代表選で最後の街頭演説会に臨んだ玉木雄一郎代表(右)と前原誠司代表代行=8月31日、JR新宿駅前

 明日9月2日に国民民主党の代表選が投開票される。立候補しているのは玉木雄一郎代表と前原誠司代表代行。両者の主張の違いは明確で、結果次第では野党再編への足がかりと見る向きもあったが、現時点では他の野党に目立った言動はなく、静観している様子だ。

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 今回の代表選は政策についての論争ではなく、路線をめぐる戦いだ。玉木氏は野党の「大きなかたまり」の意義を否定し、前原氏は政権寄りになることを批判した。2人にとってその違いは、政治家としてのルーツに由来するものとして、互いに譲ることができないものになっている。

 1993年の衆院選で初当選を果たした前原氏は、日本新党を国政の出発点として、常に自民党に対峙してきた。新党さきがけでは自民党や旧社会党と連立を組むも、1996年の旧民主党結成に参加。1998年に民政党や新党友愛などが合流した民主党で、ネクスト外務大臣やネクスト防衛庁長官などを務めた前原氏は、安保政策に通じた若手論客として頭角を現した。

大平元首相の「後継」自負する玉木氏

 一方で玉木氏は、もともと自民党からの出馬を希望していた。だが地元の香川2区ではすでに木村義雄氏が議席を占めていたため、2005年の衆院選では民主党公認で出馬して落選。2009年の衆院選では民主党公認で初当選を果たしている。

 故・大平正芳元首相の遠戚であり、その選挙区は大平氏の地盤だった中選挙区時代の香川2区と重なるため、玉木氏は「大平の後継」を自負している。もちろん主張する政策は、中道保守の宏池会の政策に似ている。また宏池会出身の岸田文雄首相とも近いことは、玉木氏が主張する「対決より解決」の基礎となっている。

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安積明子

安積明子

■あづみ・あきこ/兵庫県出身。慶應義塾大学経済学部卒。国会議員政策担当秘書資格試験に合格し、政策担当秘書として勤務。その後テレビなど出演の他、著書多数。「『新聞記者』という欺瞞|『国民の代表』発言の意味をあらためて問う」(ワニブックス)などで咢堂ブックオブイヤー大賞(メディア部門)を3連続受賞。近著に「眞子内親王の危険な選択」(ビジネス社)。趣味は宝塚観劇。

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