これには国民民主党の支援団体である連合の存在が影響していた。連合は同年2月に参院選に向けて作成した基本方針で、「政策実現に向けて立憲民主党、国民民主党と引き続き連携を図ることを基本とする」と決めたが、同時に「基本政策が大きく異なる政党と連携・協力する候補者は推薦しない」ともしていたからだ。
この「基本政策が大きく異なる政党」については、芳野友子会長は2月17日の会見で共産党を指すことを明言し、日本維新の会については「地域によって判断する」と含みを残した。よって日本維新の会と「連立」すれば、立憲民主党とまた裂き状態にされている連合の支持が怪しくなりかねなくなる。
菅政権より岸田政権に親和性
また菅義偉政権から岸田政権に代わり、政府との距離が広がった日本維新の会とは異なり、上記のような“出自”を持つ玉木氏は、岸田政権に親和性があることも大きな理由だ。政権との距離を表す「対決より解決」という国民民主党のキャッチフレーズは、そのまま玉木氏の求心力の根拠となる。
もっとも党内には玉木氏への不満も鬱積している。まずは政党支持率が伸びないこと。また「玉木党」であることの限界も囁かれている。
実際に昨年の参院選で国民民主党は315万9625票しか比例票を獲得できず、目標の「500万票」には遠く及ばなかった。そして出馬した現職4人中、同党の副代表だった矢田稚子氏を落選させた。しかし電機連合が推す矢田氏が獲得した個人票は15万9929票で、仮に自民党や立憲民主党で立候補していたとしたら、十分に当選できたはずの数字といえる。