そんなめんどくさいことやってられない、と思う権利があるのは、継続が得意だと胸をはって言える人だけ。継続できないなら、一見すると回り道に見える「環境作り」をしてみてください。

 ハードルを極限まで下げると、行動自体がいつのまにか「当たり前」になっていきます。こうすると、家に帰ったら、無意識のうちに単語帳を手に取るようになっていき、半自動的に勉強を続けることができるようになります。

 単語帳を手に取れるようなったら、次は「単語帳を開いてみる」というステップに進みましょう。

 それができたら、ちょっと声に出して遊んでみたり、意味をチラ見してなんとなく勉強をしている形にしてみましょう。

 もちろん、どのページから始めてもいい。適当に開いたページで構わないんです。

「チラ見」まで習慣化できたら、初めて「ちょっと1ページぐらい覚えてみる」で十分です。

 実はこの段階まで来ると、だいたいの人は、単語の学習を習慣化できています。このように勉強の習慣をつけるのは、1カ月もかかりません。

 というのも、「ただ単語帳を手に取る」だけで、人間は行動をやめてしまうことは少ないからです。

 本は手に取れば、自然とページをめくりたくなるもの。だから実際は、ここまで細かく分けるのは極端なケースです。

 ほとんどの人は「ちょっと開いてみるか」くらいまでは、わりとすぐに習慣化できます。

 こうして、行動を細分化してみれば、習慣化は思ったよりと簡単にできます。習慣化さえしてしまえば、後は半自動的に目標まで進めます。

 このように、やる前の「準備」はとても大切な要素です。「いつでも単語帳にアクセスできるようにしておく」という仕組みを作る。そういう環境を整えておくところから、習慣は始まっていくのです。

●岡 健作(おか・けんさく)

 スタディーハッカー 代表取締役社長

 1977年生まれ、福岡出身。同志社大学(文学部英文学科)在籍中から英語教育に関わる。大手学習塾の講師・教室長を経て、2010年に京都で恵学社(現:スタディーハッカー)を創業。“Study Smart”(学びをもっと合理的でクールなものに)をコンセプトに、第二言語習得研究(SLA:Second Language Acquisition)などの科学的な知見を実際的な学びの場に落とし込んだ予備校を立ち上げる。予備校で培った英語指導ノウハウを活かした社会人向けの英語のパーソナルジムENGLISH COMPANYを2015年に設立。その他、学びやスキルアップにまつわるアプリ開発なども行っている。著書に『TOEIC(R)テスト科学的攻略法』(秀和システム)『逆転合格を実現する 医学部受験×パーソナルトレーナ』(幻冬舎新書)などがある。

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