兄が投手、弟が打者という形で兄弟対決が実現したのが、正二(巨人)、徹久(広島)の定岡兄弟だ。83年4月21日に初対決し、2度にわたって対戦したが、結果は2打数無安打で兄に軍配が上がっている。長男・智秋(南海)も堅守の遊撃手として3兄弟で最長の16年間の現役生活をまっとうした。

 一方、投手の兄弟が投げ合った例では、98年7月16日の中日対広島で、勉(広島)、洋(中日)の山田兄弟が、先発・弟、6回から兄がリリーフという形で投げ合い、57年の武智文雄(近鉄)VS田中照雄(大映)以来、史上3組目の珍事となった。

 このほか、清(名古屋など)、紀三男(中日など)、啓二(南海など)の大沢3兄弟、富夫(広島)、達朗(巨人)の広岡兄弟、慎一(中日、ロッテなど)、省三(巨人-中日)の江藤兄弟、明和(広島)、聖(巨人、中日など)の西本兄弟、和正(巨人)、敬幸(南海)の河埜兄弟、誠治(西武)、賢治(ヤクルト‐広島)の笘篠兄弟、貴浩(広島-阪神)、良太(中日-阪神)の新井兄弟、剛裕(中日-巨人)、直倫(中日)の堂上兄弟、博紀(阪神)、崇司(広島)の上本兄弟などが知られている。(文・久保田龍雄)

●プロフィール
久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。

▼▼▼AERA最新号はこちら▼▼▼