大人になってからも、結婚や子育てのことまで口を出す過干渉な母親との関係に悩んでいる女性は多い。心理カウンセラーで「自分中心心理学」を提唱する心理相談研究所オールイズワン代表の石原加受子さんは、「母と娘の関係は生まれた時から対等ではありません。娘は大人になっても『いい子』を演じてしまうのです」と話す。石原さんが監修した『心理学でわかる 女子の人間関係・感情辞典』(朝日新聞出版)から、母親と娘の関係へのアドバイスを紹介する。
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そもそも、「過干渉」とはどういうことを言うのか、おわかりでしょうか。ピアノを欲しがる子どもに、借金してまで最高級グランドピアノを買うのは過保護。「ピアノよりバイオリンのほうがいいわよ」とバイオリンを買うのが過干渉です。
つまり過干渉とは、本人がやりたいことを禁じたり、欲しがらないものを強制したりすること。過干渉で育てられた子は自分の願いより親の望みを叶えるクセがつき、成人しても「自分がやりたいこと、欲しいものがわからない」と悩み苦しむのです。
女の子が生まれて初めて経験する女性同士の関係は、母親と娘の関係ですが、これがかなりのクセモノです。母娘の確執が解消されていないがために、恋愛や結婚に支障をきたすケースも数多く見られます。
子どもは大人の保護がなければ生きていけません。「かわいくない」と思われて見捨てられたらおしまいなので、大人の言うことが納得できなくても従わざるを得ません。最初から対等な関係ではないのです。
この力関係から脱出するための人生最大のチャンスが反抗期です。親離れ・子離れの儀式のようなもので、ここをきちんと通過すると、自立した別々の人格として対等な関係がもてるようになります。
しかし、親があまりに高圧的だったり不在だったりして反抗期をやり損なった娘は、いつまでも『いい子』であることから卒業できません。
母親からすれば、こんな『いい子』である娘をいつまでも手放したくありません。ですから何かにつけて小言を言ったり世話を焼いたりする『過干渉』、病気など娘が断りにくいことを理由にしばしば呼びつける『同情による支配』などを使って、娘が自分から離れていかないようにします。