売り主と交渉しながら
築浅の中古物件を適正価格で買おう


 このように立地が悪くて面積が狭く、「面積単価」は割高な物件は、新型コロナウイルス感染拡大を機に増え始めた。

 というのも、「ステイホーム」が重視され始め、仕事や学校も「在宅」が前提になったコロナ禍当初は、家を探す人が大量に増えた。レジャーに行けない家族にとって、土日祝日は家を探すことが一大イベントとなった。

 需要過多になると、新築物件は倍率が付くので価格は上がる。伸び率が低いとはいえ、首都圏における新築マンションの平均価格がじわじわと上昇している要因はここにある。

 筆者が主宰する「住まいサーフィン」というサイトでは、新築・中古のマンションの適正価格を無料会員制で公開しているが、このうち新築物件の適正価格はコロナ禍を機に7%値上がりした。

 だが、この7%の値上がりは「新築信仰」の対象から外れた時点で剥がれ落ちてしまう。中古物件として売ろうとした際は、それほどの値段が付かず、購入者の含み損に変わる。

 繰り返しになるが、コロナ禍以降に売り出された新築マンションは立地が悪く、面積が狭く、「面積単価」が割高に映るケースが多い。そのため、中古市場に出回ったときに選ばれるだけの理由があるかは疑問符が付く。

 新築物件は購入リスクが高いので、売り主と交渉しながら築浅の中古物件を適正価格で買う方が安全であることは理解しておくべきだろう。

 ここで23年に入ってからの、首都圏における新築分譲マンションの供給戸数を見てみよう。1~5月の累計値は8596戸で、22年の同時期実績(1万799戸)と比較して20.4%減少している。

 今夏以降もこのペースで減少が続くと、22年の年間供給戸数は2万9569戸だったのに対し、23年の供給戸数は2.4万戸程度(前年比約2割減)で着地する可能性がある。

 価格が上がれば買える人が少なくなり、供給戸数が減るのはこれまでも起きていたことで当然の帰結ではある。とはいえ、約2割減はかなり大きな下落幅である。これにも市場変化による要因がある。

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年末までが中古マンション最大の買い時