(写真はイメージ/Gettyimages)
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 マンション価格高騰が叫ばれて久しい。だがデータを見てみると、首都圏における新築マンションの平均価格の伸び率は、実は「爆発的に伸びている」というわけではない。その裏側で増えている「お手頃に見える新築マンション」の実態と、こうした物件の購入リスクについて解説する。(スタイルアクト(株)代表取締役/不動産コンサルタント 沖 有人)

新築物件価格は3割増
中古物件価格は7割増の謎


 首都圏(1都3県)における新築マンションの平均価格は、2023年3月に1億4360万円となり、初めて単月で1億円を超えた。

 その後2カ月の平均価格は4月が7747万円、5月が8068万円と、いずれも22年の月間平均価格6288万円を上回っている(不動産経済研究所調べ)。

 金融緩和以降は、このように新築マンションの価格上昇に歯止めがかからない状況だ。だが実は、統計的には「10年前の2倍」といった爆発的な伸びを見せているわけではない。

 首都圏における過去のデータをひもとくと、13年に4929万円だった平均価格は9年後の2022年に6288万円に増えたが、伸び率は27.6%にとどまっている。

 近畿圏(2府4県)では、13年には3496万円だった物件価格が、22年には4635万円に増えた。だが、こちらも伸び率は32.6%である。値上がりしているのは確かだが、一般消費者が体感している「物件価格高騰」の現状は、こんなものではないはずだ。

 一方、中古マンションの成約価格を基に国土交通省が作成した「不動産価格指数」を見てみると、首都圏における13年の平均値は103.6だったが、22年には176.0となり、約70%アップとなっている。

 近畿圏も同様に、13年の平均値109.4が22年には186.3となり、同じく約70%アップである。これがまさに、一般消費者の実感値かもしれない。

 一連の数字を見ると、新築価格の上昇は抑えられている一方、中古物件だけが値上がりしているように思えてくる。だが、これは数字のマジックのようなものである。

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中古物件だけが値上がりしているように見える理由