勝谷医師は、大阪大学で20年間、高血圧やアルツハイマー病などの診療と研究に携わってきました。父の後を継ぎ兵庫県尼崎市にある同院の院長となり、地域の人々の健康をサポートしながら、現在も千里金蘭大学や大阪医科薬科大学などで教鞭を執っています。さらに日本高血圧学会理事として、高血圧に関する研究に携わるなど治療の進歩や医療連携などにも貢献しています。
「両親やきょうだいなどが高血圧の人は、今は血圧が高くなくても将来、高血圧になる可能性が高いため、注意して経過をみることが必要です。ただし、親が高血圧でも、しっかり予防を心がけることで高血圧にならない人も多くいます」(勝谷医師)
では実際に、高血圧はどのように予防すればいいのでしょうか。主な対策として「家庭での血圧測定」「減塩」「適度な運動習慣」「毎年の健康診断」の四つが挙げられます。
■家庭で使用する血圧計は上腕式タイプがおすすめ
家庭で血圧を測る習慣をつけることには、「自分の血圧を知る」「血圧を意識して生活する」という二つの意義があると勝谷医師は話します。家庭血圧の重要性を示す研究報告もあり、岩手県花巻市大迫町で35年以上続けられてきた、東北大学の今井潤医師による「大迫研究」では、病院で測る診察室血圧より、自宅で測る家庭血圧のほうが、心血管疾患による死亡リスクと関連が深いこと、脳卒中発症リスクの予測能が高いことが示されました。
「世界保健機関(WHO)など世界的な血圧の基準が、この研究データに基づいて決められたという日本が誇る疫学研究です。この研究では、住民に家庭での血圧測定を習慣づけたことで、脳卒中などの病気が減ったともいわれています」(同)
正しく血圧を測るためには血圧計選びも重要です。勝谷医師は、手首で測るものより、「上腕で測るタイプのほうが、より正確な血圧値が得られる」と勧めています。
日本高血圧学会では、家庭での正しい血圧の測り方として、毎日、朝と夜に測定すること、朝は起床後1時間以内を目安に朝食や服薬の前に測定すること、夜は就寝前に測定すること、測定前には1~2分座って落ち着いてから測ることを推奨しています。