家庭での血圧測定と同様に、高血圧予防に不可欠なのが「減塩」です。厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、1日の食塩摂取量の目標を成人男性では7.5g未満、成人女性では6.5g未満、高血圧や慢性腎臓病の人では6g未満と定めています。
しかし、自分が毎日どのぐらい塩分をとっているかを把握している人は少ないでしょう。勝谷医師は患者に減塩指導をするとき、まず「塩分チェックシート」に記入してもらうといいます(図)。このシートは、漬物を食べる頻度などの当てはまる部分にチェックを入れて、合計点数を出すことで塩分摂取の状況を把握することができるものです。
「どこで塩分をとっているか一目でわかるので、『ここを減らしましょう』と具体的な説明ができ、患者さんもどうすれば塩分を減らせるかわかります」(勝谷医師)
■ちょっとの工夫で減塩はできる ポイントは「少しずつ減らす」こと
減塩のコツとして、厚生労働省の「e-ヘルスネット」では、「漬物は控える(自家製浅漬けにして、少量に)」「麺類の汁は残す(全部残せば2~3g減塩できる)」など、減塩に有効な食行動の例を紹介しています(表)。山岸医師は、「まずは減塩を意識することが大事」と話します。
「一度に多くのことをおこなおうとすると、長続きしないことがあります。ひとつからでもいいので、まず自分にできそうなことから試してみましょう」
醤油などの調味料は、回しかけるのではなく小皿に少量入れ、つけて食べるようにする、プッシュ式やスプレー式の容器に替える、減塩タイプの調味料に替える、などの工夫だけでも塩分を減らすことができます。
「それまで10gとっていた塩分を急に6gにしようとすると、味気ない食事となり物足りなく感じてしまいますが、人間の味覚は、1カ月に1gずつ減塩すると感知できないといわれます。ストレスなく減塩するためには『少しずつ減らす』のがポイントです」(勝谷医師)