血圧が高くても自覚症状はほとんどありません。そのため、「高血圧は予防が大事」といわれても「ピンとこない」という人もいるかもしれません。でも、自覚症状がないからこそ、気づかぬうちに進行し、大きな病気を引き起こす高血圧の予防は重要なのです。さらに、予防を始めるのは早いほど望ましく、子どものころから高血圧予防を意識した生活を送ることで、将来の高血圧と、その先にある病気のリスクを軽減できるメリットもあります。
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高血圧予防の大切さと、無理なく続ける予防のポイントを知ってもらうため、週刊朝日ムック「手術数でわかるいい病院」編集チームが取材する連載企画「名医に聞く 病気の予防と治し方」からお届けします。「高血圧」全3回の2回目です。
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■自覚症状がない高血圧が生命に関わる病気のリスクに
日本の患者数は約4000万人以上といわれる高血圧。その予防が重要視され、行政や医療機関、学会などではさまざまな取り組みがおこなわれています。なぜ予防が必要かといえば、高血圧には自覚症状がなく、気づかないうちに動脈硬化を促進し、心筋梗塞(こうそく)や脳梗塞、脳出血など生命に関わる病気を引き起こすリスクが高まるためです。
筑波大学医学医療系社会健康医学教授の山岸良匡医師は、「高血圧予防は、その先に待つ多くの病気を防ぐことにつながる」と話します。
高血圧などの生活習慣病に関する疫学研究や予防医学を専門とする山岸医師は、厚生労働省の一般向け健康情報サイト「e-ヘルスネット」の情報評価委員として生活習慣病に関する記事を作成するなど、啓発にも積極的に取り組んでいます。
高血圧は、食事での塩分のとり過ぎや運動不足、睡眠不足、ストレスなど生活習慣に起因することが多いため、自らの生活を振り返り、「心当たりがある人=予防を心がけるべき人」といえます。
また、糖尿病や腎臓病、肥満の人、家族に高血圧や脳卒中になった人がいる場合などは、「高血圧になりやすいため、より注意が必要」と、勝谷医院院長の勝谷友宏医師は指摘します。