1999年から始まった司法制度改革の一環として、2004年に開設された法科大学院(ロースクール)。最盛期には74校だったが、現在募集を行っているのは40校減の34校だ。大勢の法曹人材を世に送り出す一方、定員割れが続き募集停止に追い込まれた法科大学院も多い。
しかし、弁護士の魅力や現状について記した『弁護士のすゝめ』の著者の一人である多田猛弁護士は、「弁護士の需要は大きく、売り手市場の今がチャンス」だという。「法科大学院はリーガルマインドを学ぶところ」と話す多田猛弁護士に、法科大学院で学ぶ意義、弁護士の現状と展望についてAERAムック『大学院・通信制大学2024』で取材した。
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【話を聞いた人】
弁護士法人Proceed代表 多田 猛 弁護士
プロフィール
2002年京都大学法学部卒業。学習塾運営会社勤務を経て11年一橋大学法科大学院(未修者コース)修了。12年に司法修習を終了し弁護士登録。13年に独立開業。17年5月弁護士法人Proceed設立(現在代表弁護士)。中小企業向け弁護士費用保険事業、フェリクス少額短期保険株式会社(後に事業譲渡し、フェリクス株式会社に改称)を立ち上げたり、スクールロイヤーに就任したりするなど、従来の弁護士の枠を超えて活躍。また「ロースクールと法曹の未来を創る会」の創立以来、事務局次長を務め、ライフワークとして司法制度改革、法曹養成支援の活動を行っている。それらのいきさつを『弁護士のすゝめ』(民事法研究会)として発刊した。
■ソクラテスメソッドで学ぶ
Q 多田さんは法学部を卒業後に就労し、6年後に法科大学院に進学しています。その経緯を教えてください。
A 大学で法学部に進んだものの、実はそれほど法律を面白いとは思っていなかったんです。卒業後、学習塾を運営する会社に就職し、経営に関わる立場になってコンプライアンスの大切さを実感し、弁護士という職業を意識するようになりました。