零細企業でも社長は経営の全責任を負わないといけませんし、孤独なんです。そんな社長のサポーターが必要だと思いました。また、教え子との関係で、付添人といって、弁護士が子どもに寄り添って学校や家庭と調整して更生などのサポートをするような仕事があるんだと知りました。弁護士になれば会社の経営もサポートできるし、教育の分野でも活動できると思ったのです。

Q 一橋大学の法科大学院を選ばれた理由を教えてください。

A 複数理由があるのですが、わかりやすい理由としては合格率の高さ。大学生当時、旧司法試験制度の合格率は3%程度で、弁護士を目指す同級生はみんな予備校に行っていました。当時はロースクールの合格率が20%程度でしたが、一橋はその中でも高いほうで累積8~9割が合格していたと記憶しています。ですから真面目に勉強していれば合格できるだろうと思ったのです。

 そして、ビジネス・国際・人権という注力分野が僕の志向にフィットしているなと。社会人出身の僕としては、少人数教育というところにも惹かれましたね。

 僕はすっぱりと会社を辞め学業に専念しましたが、ロースクールは働きながらでも通えるところがいいですね。

Q 実際に法科大学院で学んで、いかがでしたか。

A 大学とは違いましたね。今は違っているのかもしれませんが、当時の大学での授業は、大勢の学生を前に教授が講義をするスタイルでした。しかし法科大学院は、もちろん大人数で学術的な体系を学ぶ授業もありますが、ソクラテスメソッドといって少人数で対話をしながら進めていくんです。「そういう考え方があるかもしれないけど、こういう考えもあるよ」「こういうふうには考えられないだろうか」など学生と教授、学生同士が議論を交わす。僕はこの授業スタイルに共感し、教育とはこうあるべきだと思いました。

■実務家教員による、手厚い教育

A さらに法科大学院の教員は、有名な学者や実務家教員が多くいらっしゃる。そういう人たちの授業を受けることができ、さらに学生が質問に行けば親身に答えてくれます。大学時代ではありえない手厚さでした。弁護士などの実務家教員は学生をかわいがってくれて、修了後も僕は何度かご飯もごちそうになりました(笑)。

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