実体験をもとにした話を聞かせてくれるので、「弁護士とはこういうもの」と、実際の仕事も想像できます。大学のときには、「弁護士は裁判をやっている人」というイメージしかわかなかった。弁護士って本当に面白い仕事だなと思えるようになったのは、法科大学院で弁護士、検察官、裁判官の実務家教員と話ができたからなんです。

Q 法科大学院と予備試験対策予備校の違いについて、どう考えますか。

A 予備試験対策の予備校を選んで、最短ルートで司法試験合格を狙うやり方を否定するわけではありません。ただしっかりと学びたい人には、学びの楽しさを味わう法科大学院を勧めます。学問と実務の両方を学べるのは貴重な体験で、実務に携わったときに応用がききます。

 みなさん意外に思われるかもしれませんが、司法試験のためだけの勉強って、正直実務では役に立たないことが多いのです。世の中で必要とされる法律は常にバージョンアップされ、司法試験のために学んだ法律とは異なってくる。でも法学の基礎をしっかりと学んでおけば、新しい案件が出てきたときもすぐにキャッチアップして、「これならこういう法律が当てはまるんじゃないか」と、勘所が働くようになります。

 そして法科大学院は、生涯にわたってつきあえる友だちができる。僕自身この業界に入り、法科大学院でできた友だちにはいつでも相談できるし、助け合えています。

■弁護士はダイレクトに人の役に立つ仕事

Q 弁護士の仕事の面白さとはなんでしょう。

A ダイレクトに人の役に立つことができ、感謝していただけることです。人のためになりたい、社会の役に立ちたいという若い人が多くなっています。困っている人のお話を聞き、寄り添って解決することができるので、そういう志を持っている人にぴったりの仕事です。

 弁護士の資格として一番優遇されているのが、法廷業務をほぼ独占している資格だということでしょう。ただ、最近では法廷以外での活躍も広がっています。たとえば僕は中小企業や企業のスタートアップ支援を行っていますが、刑事事件、民事と幅広く、最近ではスクールロイヤーや、高齢者が増えるにつれて成年後見制度における弁護士の需要も増えています。また、弁護士の広告規制が解禁されたおかげで、相談したい内容などからネットで検索ができるようになり、弁護士と一般の人を結ぶパイプができ、活躍の幅がさまざまな分野へと広がりました。さらにAIの発展で、僕は法律相談というものがより身近になると思っています。僕のように起業したい人にとっても、弁護士としての社会的信用力の大きさは大変ありがたいのです。

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弁護士不足といわれており、「弁護士の採用難」