中田翔
中田翔

 主力選手の穴を若手が埋めるのは難しい。それは巨人に限ったことではない。阪神で近本光司と遜色ない能力を持つ「1番・センター」は見当たらないし、ヤクルト村上宗隆の代わりが務まるスラッガーはいない。ベンチワークがカギを握るが、スポーツ紙記者は不安を口にする。 

「5月上旬に右太腿肉離れで離脱した中田翔が予定よりかなり早く前倒しして3週間で1軍に復帰しましたが、まだ全力疾走ができず、故障の影響か打撃も本調子ではない。長いペナントレースを考えた時に無理をしてまで戻すべきだったのか。再発するリスクを考えると、コンディションが万全になるまでファームで調整させた方が良いと思います」 

 その点でDeNAは対照的だと話す。 

「リーグトップの打率をマークする宮崎敏郎は疲れをためないようにスタメンから外す試合を作るなど、無理をさせない。リードオフマンの桑原将志も6月中旬に左ふくらはぎの肉離れで抹消しましたが、症状は軽度で本人がやる気満々だったのを首脳陣がストップを掛けて治療に専念させた。巨人が選手のコンディション作りに注意を払っていないわけではありません。先発ローテーションは登板間隔を空け、守護神・大勢もコンディションを整えさせるためにヤクルトと対戦した東北遠征は帯同させなかった。勝負の夏場を見据えた起用法ですが、中田の扱いに関しては疑問が残ります」 

 夏場を制するチームがペナントレースを制する。名将・原辰徳監督は熟知しているが、3年連続V逸しているチームは、夏場に失速する戦いが続いていることが気になる。昨年も7月に5勝12敗1分と大きく負け越し、8月も11勝14敗と巻き返せず5年ぶりのBクラスに沈んだ。 

 他球団の首脳陣は、巨人についてこう分析する。 

「投打で能力の高い選手がそろっていることは間違いない。特に打線はどこからでも1発が飛び出すので、少しでも隙を見せれば大量失点で試合が壊れてしまう可能性がある。でも、接戦に持ち込めば十分に戦える手応えはある。機動力を使える選手が限られているので、攻撃の選択肢が少ない。抑えの大勢も新人の昨年ほどの球威がないので、手も足も出ないという状況ではない」 

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勝利の方程式の構築に苦労