巨人の一番の不安材料は救援陣だろう。先発陣はそろってきているが、救援陣は勝利の方程式の構築に苦労している。ポイントを握るのは「8回の男」だ。開幕前は新外国人投手のロペスが担う構想だったが、来日初登板となった3月31日の開幕戦・中日戦(東京ドーム)で逆転を許して救援失敗するなど、4試合登板で0勝1敗、防御率7.71の大誤算。直球が速いわけでなく、制球もアバウトで力不足は否めない。5月13日に登録抹消され、右肩のコンディション不良でリハビリ組に入り、今月下旬に実戦登板を果たした。腰痛から復帰した中川皓太は目下9試合連続無失点と好投を続けているが、無理はさせられない。ドラフト3位右腕・田中千晴、DeNAを退団して育成入団から復活した三上朋也、変則左腕の高梨雄平、大江竜聖、オリックスからトレード移籍した鈴木康平が勝負の分岐点で登板した際に踏ん張れるか。プロ2年目の大勢が本来の状態と言えず抑えを外れる事態になれば、救援陣の再編が必要になる。 

 巨人に限らず、他球団も盤石とは言えない。5月まで首位を独走していた阪神は6月に7勝13敗1分と失速。佐藤輝明、ノイジーが共に打撃不振でクリーンアップから外れ、交流戦で救援失敗が重なった湯浅京己もファームで再調整に。救援陣の質が高いため湯浅の穴はカバーできるとみられるが、昨年までの課題だった得点力不足をどう解決するか。 

 投打のバランスが最も良いのが交流戦初優勝を飾ったDeNAだ。サイ・ヤング賞右腕のトレバー・バウアーの加入が大きなプラスアルファに。今季覚醒した関根大気の貢献度も高い。だが、守護神の山崎康晃は防御率4.50と不安定なことが気になる。勢いに乗ったら手を付けられないが、負けが込むと歯止めが利かなくなるチーム体質も変えなければいけない。 

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不気味なのは広島