――テストステロンが下がらないようにするための予防法はありますか。

 何よりストレスをためないように、自分に心地のいい環境をつくることです。適度な運動も大事ですが、ジムに通ってやりたくもないのにランニングマシンで走ってもテストステロンは上がりません。ゴルフでもテニスでも、自分が楽しいと思えることをすることです。例えば、週末に少年野球のコーチをして保護者の方たちから感謝されているような人は、テストステロンの値が下がりにくいのです。

 仲間の存在も大切です。家族でも友人でもでもいいので、フラットで心地よい人間関係を持つことです。どんなに美味しい食事でも一人で食べていたら、テストステロンは上がりません。誰と食べるかが大切です。お子さんやお孫さんたちなど親族が集まって食事をしたり、気の合う仲間と居酒屋で飲んだりすると、テストステロンは上がってきます。

 質の良い睡眠も重要です。基本的にはテストステロンの値は朝高く、夕方には低くなってきます。筋肉をたくさん使うと、筋肉がテストステロンを吸収するからです。眠っている間にテストステロンは補充されますから、睡眠の質が悪い人は要注意です。

――他にも、どんな時に注意が必要ですか。

 例えば、ゴルフをやっていた人が、急にやらなくなった場合。これは危険な兆候です。意欲が減退している理由が必ずあるはずです。あるいは、去年より体重が2キロ増えたというのも、危険を知らせるサインです。私たちが普段食べているものは、そんなに変わらないはずなんです。食事に気をつけて適度な運動を、と言いがちですが、その前にテストステロンが下がっていないかを調べるべきです。

――簡単な測定方法はあるのでしょうか。

 通常は血液検査で調べるのですが、テストステロンが下がっていないかチェックしなさい、と言っても、ほとんどの人はなかなか泌尿器科にかかろうとはしないでしょう。私が顧問を務めている「ホルモンテスティング合同会社」(東京都千代田区)では、唾液の中のテストステロンを測定する「HPテスティング」という事業を行っており、同社のホームページから申し込めます。自宅で唾液を採取し、郵送するだけで測定してくれます。その結果によって、病院で受診することも選択肢の一つだと思います。

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