輸送トラブルで愛オークスを回避せざるを得なくなった直後の英G1キングジョージ6世&クイーンエリザベスステークスで最下位(6位)に沈んだことでいったん株を下げたが、昨秋の英チャンピオンズフィリーズ&メアズステークスでG1初制覇。今年は休み明けのコロネーションカップで牡馬相手でも勝てることを証明した。核となる牡馬が古馬勢にいない以上、今後のレース次第では古馬の大将格となるかもしれない。
パイルドライヴァーも、現時点での期待度はヴァデニやルクセンブルクらよりも上か。昨年のキングジョージ勝ち後は故障続きの不運に見舞われたものの、ロイヤルアスコットでG2ハードウィックステークスを勝って復活を遂げた。
昨春に英G1コロネーションカップを勝利後に骨折し、休み明けだった今年5月の英G3ブリガディアジェラードステークスでは無敗だった昨年の英ダービー馬デザートクラウンに土を付けたフクムも面白いかもしれない。すでに6歳で上がり目は微妙だが、全弟は昨年の欧州競馬で鮮烈な印象を残した名馬バーイードという血統も魅力ではある。
最後に日本馬についてだが、今年5月の時点で凱旋門賞に登録したのはサリエラ、スルーセブンシーズ、ドゥラエレーデの3頭。誰もが認める最強馬のイクイノックスや実績十分なタイトルホルダー、今春のクラシック戦線をにぎわせたソールオリエンスやタスティエーラ、リバティアイランドらの登録はなかった。もちろん追加登録は可能だが、初期登録を見送った馬たちがあえて大金を払って凱旋門賞へ向かう可能性は低いと言わざるを得ない。
ちなみにサリエラは重賞未勝利で、スルーセブンシーズはG3中山牝馬ステークスの1勝のみ、ドゥラエレーデは14番人気で2歳G1ホープフルステークスを勝って今年3月のUAEダービーでは2着と好走したが、帰国後のダービーは落馬で競走中止。古馬に挑んだ宝塚記念は10着に終わった。
3頭のうち最も可能性を感じるのは宝塚記念で人気薄ながらイクイノックスの2着に入ったスルーセブンシーズか。5歳牝馬に過度な期待は禁物だが、父ドリームジャーニーは凱旋門賞で2年連続2着だったオルフェーヴルの全兄。その父ステイゴールドはオルフェーヴル以外にもナカヤマフェスタで凱旋門賞2着と、この血統には一発が期待できる雰囲気がある。