牝馬勢はどうかというと、現時点で両ダービー馬に匹敵しそうなのは仏1000ギニーと仏オークスの二冠を制覇したブルーローズセンとなるが、父がガリレオ産駒ながらマイルで良績を残したチャーチル、デインヒル系では地味な母父ジェレミーもマイル中心での実績ということを鑑みると凱旋門賞への挑戦はどうなるか。クリスティアーヌ・ヘッド調教師が仏オークスまでの距離延長は計画していたが凱旋門賞はまた未知への挑戦となると語ったように、現時点では今後の予定を明言していない。
なお英オークス組は、ランフランコ・デットーリ騎乗で感動的な勝利を挙げたソウルシスターも、1番人気で2着に敗れたセーブザラストダンスも両ダービー馬ほど印象的なレースではなかった。
一方、古馬勢は層が薄いと見られていた昨年以上に駒不足の感が否めない。特に昨年の凱旋門賞馬アルピニスタはすでに引退しているため、本来なら中心にならなくてはいけない2着馬のヴァデニが精彩を欠いている。
ヴァデニは今年初戦だった4月末の仏G1ガネー賞で4着、続く5月の愛G1タタソールズゴールドカップでは5着と連敗。しかも昨年のエクリプス賞や凱旋門賞では先着していたベイブリッジやルクセンブルクらに後れを取るという内容だった。
ちなみにガネー賞を勝ったイレジンはセン馬のため凱旋門賞には出走不可。タタソールズGCを制したルクセンブルクは唯一の12ハロン路線出走だった昨年の凱旋門賞で7着だったことから、今年は中距離路線に専念する可能性も高い。それは両レースで3着、2着だった昨年のG1英チャンピオンステークス勝ち馬ベイブリッジも同様だろう。
しかもルクセンブルクはロイヤルアスコットでのG1プリンスオブウェールズステークスで伏兵モスターダフに完敗の2着。同3着だった21年の英ダービー馬アダイヤーともども評価を上げることはかなわなかった。
これなら牝馬ながらも英G1コロネーションカップで、昨年の愛ダービー馬にして3月のドバイシーマクラシックではイクイノックスの2着だったウエストオーバーを破ったエミリーアップジョンの方に期待したい。もともと昨年の英オークスで負けてなお強しの競馬をしたことで評価されていた馬だ。