高卒2年目の昨季、同時期の江夏(10.97)に迫る奪三振率10.34をマークした高橋宏も、無援護を自身のバットで打破するくらいの強い気持ちで困難を乗り越えてほしいものだ。

 先発した試合でチームが5試合連続完封負けを喫するという悲劇の主人公になったのが、2011年の日本ハム・武田勝だ。

 同年は開幕2連勝と好スタートも、4月27日のソフトバンク戦で5回3失点と打ち込まれ、0対5で敗れたのがケチの付きはじめ。

 5月4日のオリックス戦では、8回を1失点に抑えながら、味方打線はバスターエンドラン失敗などで得点機を潰し、0対1で敗れた。

 さらに5月11日の楽天戦でも、武田勝は7回を鉄平のソロによる1点に抑えながら、2試合連続0対1で敗戦投手になるという不運を味わう。

 交流戦が始まっても負の連鎖は止まらず、5月17日のヤクルト戦、同23日の横浜戦といずれも0対2で惜敗。先発で5試合連続チームが完封負けしたのは、1943年の内藤幸三(朝日)以来、68年ぶり2人目の珍事だった。

「(野手の)みんなに申し訳ないくらい“悪い”と言われる。気にしないで今までどおり、ふつうにプレーしてくれればいい。1年間続くわけないですから」と神対応を見せた武田勝だが、5月29日の広島戦も前田健太との投手戦となり、初回からスコアボードにゼロが並ぶ。

 だが、ここで打線が奮起する。5回1死から稲葉篤紀、ホフパワーの連打で一、三塁としたあと、「勝さんの投げる試合で点を取れていない。何とかしたかった」という今浪隆博が値千金の中前タイムリーを放つ。

 そして、8回からは増井浩俊、武田久のリレーで虎の子の1点を守り切り、武田勝に38日ぶりの勝利をプレゼントした。

 今浪とともにお立ち台に上がった武田勝の「とりあえず、お久しぶりです」の言葉に共感を覚えたファンも多かったはずだ。

 開幕から9試合連続白星なしという逆境に耐え抜いたのが、2014年の巨人・内海哲也だ。

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“10度目の正直”に「いつかこの日が来ると思って」