シーズン初登板の4月1日のDeNA戦は、8回1失点の好投も、同点のまま降板。これがすべての始まりだった。

 4月8日の広島戦はわずか33球で危険球退場。同19日の中日戦では、2対0の7回に和田一浩に同点2ランを許し、たった1球の失投に泣いた。

 その後も内海の投げる試合に限って打線が湿るという悪循環に陥り、4月27日の広島戦は、11イニング無得点で、7回無失点の内海を援護できずじまい。5月4日の中日戦も、チャンスに5併殺の拙攻に泣いた。

 悪い流れはなおも続き、5月23日のロッテ戦、内海は1対1の7回に鈴木大地に決勝三塁打を浴び、5敗目。ついに開幕から9試合先発して未勝利となった。

 そして、5月29日の楽天戦も、5回まで1対0と予断の許せない展開となるが、6回2死、左太ももが吊るアクシデントにもかかわらず、「行きます!」と続投を志願した内海の気迫が打線に火をつける。

 その裏、巨人は井端弘和のタイムリーで1点を追加すると、7回にセペダの満塁アーチが飛び出し、6対0の快勝。

 7回を無失点に抑え、“10度目の正直”で初勝利を挙げた内海は「正直しんどかった。でも、いつかこの日が来ると思って、一生懸命頑張った」と1勝の重みを噛みしめていた。(文・久保田龍雄)

●プロフィール
久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。

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久保田龍雄

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久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。

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