56勝34敗1引分、勝率.622──。高津臣吾監督の下、球団29年ぶりのセ・リーグ連覇を目指すヤクルトが、同率2位の阪神と広島に11ゲームもの大差を付けて、明日から始めるシーズン後半戦を迎えようとしている。
【写真】移籍して2年目。今のヤクルトに欠かせない選手といえば?
ヤクルトが優勝翌年のシーズン前半戦を首位で折り返すのは、球団史上初のリーグ連覇を達成した1993年以来のことだが、この時は39勝30敗1引分、勝率.565で2位の巨人とは4.5ゲーム差。今年は勝率でも2位とのゲーム差でも、これを大きく上回っている。
しかも今年はオールスター前のいわゆる前半戦終了時点で、どの球団も既に90試合前後を消化しており、ヤクルトの場合は残り52試合。仮にこれを26勝26敗の五分で終えるとするなら最終的には82勝60敗1引分、勝率.577で、阪神は残り49試合を36勝13敗(勝率.734)、広島も残り48試合を35勝13敗(勝率.729)という驚異的なペースで勝ち進まなければ、超えることができない計算となる。
ちなみにヤクルトが今シーズン、2位に付けた最大のゲーム差は7月2日から4日にかけての13.5ゲーム差であり、プロ野球の歴史を紐解いてもこれ以上の差をひっくり返されたケースはただ一度。今を遡ること59年前の1963年、7月10日に14.5ゲーム差を付けていた西鉄(現在の西武)に逆転優勝を許した南海(現在のソフトバンク)しかない。つまり、どう考えても現時点でヤクルトは圧倒的に有利な立場にあると言っていい。
それではこれから迎える後半戦、投打にカギを握りそうな選手は誰か? まず、打線の中心が今年も全試合で4番に座り、リーグ5位の打率.312、いずれも同1位の33本塁打、89打点と三冠王も狙える位置にいる村上宗隆なのは間違いない。
ただし、その後を打つ5番バッターに関しては、開幕から10試合で打率.343、4本塁打のドミンゴ・サンタナが離脱してからは、なかなか固定することができなかった。ホセ・オスナ、中村悠平ら11人の選手を起用したものの、全員合わせても打率.214、5本塁打であり、6月1日のロッテ戦(神宮)では村上が4打席すべて四球(うち敬遠2回)で歩いたように、勝負を避けられることも少なくなかった。