サンタナは左ヒザ半月板のクリーニング手術を経て7月17日から一軍のゲームに復帰すると、7試合で17打数7安打(打率.412)、3本塁打と打ちまくっている。後半戦も彼が5番に座って好調を維持すれば、相手も簡単に村上を歩かせるわけにはいかなくなる。そういう意味では、打線に関してはサンタナがカギを握る存在となりそうだ。
一方で先発投手陣に目を向けると、高津監督は今年も時に登板間隔を空けながら、11人のピッチャーを起用。その中でも開幕投手の小川泰弘を筆頭に、高橋奎二、サイスニード、原樹理、高梨裕稔、石川雅規と、核になる6人はいずれも10試合以上に先発し、揃って5勝以上と結果を残してきた。
本来ならそこに入ってしかるべきだったのが、ドラフト1位で入団して3年目の奥川恭伸である。昨年は抜群の安定感でシーズン後半はエース級の働きを見せ、チームトップタイの9勝をマーク。クライマックスシリーズ・ファイナルステージ第1戦で自身初の完封勝利を挙げると、日本シリーズでも第1戦の先発マウンドに上がったのは、まだまだ記憶に新しいところだ。
ところが今年はホーム開幕戦となった3月29日の巨人戦(神宮)に先発したものの、上半身のコンディション不良により離脱。その後は実戦から遠ざかったままだが、この奥川が先発陣の一角に入って昨年のようなピッチングを見せられれば、先発陣のやりくりはより一層、楽になる。まずはイースタン・リーグからということになりそうだが、一軍復帰となれば間違いなく投手陣のキーマンになるはずだ。
もっとも「何が起きるか分からないのがコロナ禍のプロ野球」である。実は7月8日付の拙稿「『優勝』の後に『低迷』の傾向あったヤクルト、なぜ今年は強さを維持できているのか」の結びでそう書いたとたんに、高津監督のほかキャプテンの山田哲人、大ベテランの青木宣親、リードオフマンの塩見泰隆、正捕手の中村、貴重な中継ぎ左腕の田口麗斗、セットアッパーの清水昇ら多くの主力選手が新型コロナウイルス陽性判定を受け、戦線離脱を余儀なくされたのだ。