著者提供
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 でも、明らかに答えに窮している様子だったら、予想が外れる覚悟で選択肢や具体例をこちらから投げかけてみます。

「自分を励ましてくれるもの、とか?」
「ワクワクさせてくれるもの? 例えば、恋人のような?」

 すると、それが足がかりになって、相手が「あぁー、そういうのではなくて、でも……」とか、「どちらかというと、そばにいてくれる親友?のような存在かな。小さい頃から、寂しくても歌だけはそばにあって……」などと、それに似ている、それとは違う、といった判断をすることから、自分の思いを言葉にしやすくなっていきます。

■思いがけない安室奈美恵さんの言葉

 2017年に安室奈美恵さんが引退を発表されたあと、NHKの『安室奈美恵 告白』という番組で、インタビュアーを担当したときのことです。

 スタジオには、真っ白なソファに背筋をピンと伸ばして座る安室さん。

 私はカメラの横に座り、これまでの活動をまとめたVTRをモニターで一緒に見ながら、お話を聞いていく、という流れ。核となる質問は用意しながら、返ってきた答えに関して「もっと知りたい」と感じた点はその場でさらに掘り下げていきます。

 安室さんがアーティストとしての方向性に悩み、そこから抜け出すまでの心情をうかがったときのこと。さまざまなアーティストとのコラボレーションで刺激を受け、自分の好きなもの、原点を思い出すきっかけをつかめたと語ってくれました。

「いろいろと考えすぎてしまっていて……今の自分を楽しんで、好きなことを好きだと、いいと思うことを胸を張って楽しまないと、いいものは作れないな、と思ったんです。迷いやプレッシャーは、全部どこかに消えていきました。そこからは、曲の表現方法も、衣装も、ダンスも、スパッと決まっていったんです」

 それまでは穏やかな口調でしたが、この話題になると、表情も明るくなり声にも熱がこもってきました。これはさらに深く知りたい。そのときのイメージをこんな例えで聞いてみました。

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どんな例えだったのか…