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「新たなドアが開いちゃったっていう?」
「はい、開けられましたね」

 安室さんの様子をうかがいながら、さらに頭に浮かんだこんなイメージを言葉にしてみます。

「それは、自分で真っ暗な中、探しに行って、開けに行ったドア、なんですよね?」
「いや、開けに行ったドアはことごとくハズレだったんですよ」

 こちらが出した例えに相手が「いえ、それは違うんです」と返してきても、ひるまないでください。いいお話が聞ける予兆。こんなときこそ、こちらは前のめりで「え、それはどういうことですか?」という表情で「全身で聞いています」と相手を待ちます。

 安室さんは、このように返してくれました。

「そうか、楽しむことを忘れてた!と気づいたときに、フワッと明るくなって、ドアがポーンと目の前に現れたんです。それをスーッと鍵なしで開けられた感じ。そうして次のステージに行けたんです」

「好き」の原点に立ち戻ったときを振り返る豊かな表現に魅せられましたし、何より、安室さんがこれまで秘めていた思いを言葉にしてくれたことに、胸が熱くなりました。

 ちなみにこの日は、これまで語られることのなかった、引退についての胸の内、息子さんとのプライベートなお話など、現場で自然発生的に飛び出した質問にも、即答であったり、しばし考え込んだり、時折はにかみながらも、一言一言丁寧に答えてくださいました。

 こちらの問いに対して、ご自身の言葉を大切に選び、尽くしながら思いを伝えてくださった安室さん。予定時間を大幅にオーバーした2時間あまりの収録。その真面目で誠実なお人柄と、揺るがない強さ、決意のようなものを感じたインタビューでした。

■場の「温度」を見極める

 さて、もうひとつの「答えづらい質問」は、相手にとってふれられたくないことについてです。例えば、家族のこと、つらい過去や失敗など。プライベートやネガティブな出来事がそれにあたります。

 このような質問をせざるを得ない状況で私が大切にしているのは、相手にとって一番無理のないタイミングを選ぶこと。

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「答えづらい質問」は、切り出すタイミングが大事