米・ハーバード大学とジュリアード音楽院を卒業・修了したバイオリニストの廣津留すみれさん(29)。 現在はコンサートなどの音楽活動を行いながら、日本の大学でグローバル人材を育成するための授業も受け持っている。廣津留さんの頭の中を探るべく、どんなふうに音楽や勉強とかかわってきたのかを語ってもらうAERA dot.連載。第16回は、今後の目標について。
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幅広く活動を続ける廣津留さんは、将来を担う子どもたちのための教育にも力を入れている。そのひとつが生まれ育った大分で開催している「Summer in JAPAN」というサマースクールだ。
「Summer in JAPAN(以下、SIJ)は2013年から、母と共同で始めました。ハーバードのネットワークを持つ私と、英語教育を行ってきた母。一緒に何かできないかと話したのがきっかけで、大分でのサマースクールがスタートしました。アメリカの大学生が高校生に教えるというプログラムはいくつもありますが、小中学生から高校生までの幅広い年齢に向けて、しかも東京ではなく、地方で開催されているものはあまりなかったんです。SIJではハーバード生が子どもたちにさまざまな学問分野を教えていますが、年齢でクラス分けをしないのが特徴の1つです。小学生と高校生が一緒のクラスになることもありますから、小学生は『こうなりたい』という姿を想像できますし、高校生はすごい小学生を目の当たりにして刺激を受けられます。
プログラムは2週間で、前半の1週間はライティングやコンピュータサイエンス、プレゼンテーションをみっちり教えます。後半はハーバード生に日本を知ってもらう1週間で、地元の小中学生とのワークショップに始まり、お寺や海辺での文化体験など「ガイドブックに載っていない」をテーマにコアな日本を体験してもらっています。またハーバード大学は楽器を弾ける学生も多いので、SIJでは第一回からコンサートシリーズを開催しています。室内楽を一緒に演奏するなど、さまざまなパフォーマンスをハーバード生と披露することで、子どもたちに勉強以外の課外活動の大事さを知ってもらうのが目的です」