長時間のスマホ使用が「ストレートネック」と呼ばれる状態を作り出すことは、よく知られている。真っすぐ伸びる首に対してわずかに反っているはずの首の骨(頸椎)が、視線を落としスマホをのぞき込むような姿勢を続けることで、反りを失う。その結果、首の後ろ側の筋肉が収縮し続け、筋肉がどんどん硬くなり、血の巡りも滞ってしまうために起こる症状だ。
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同様に、長時間のデスクワークが肩こりの原因の一つであることも周知の事実だ。パソコン作業をしていると、知らず知らずのうちに頭が前に出て、スマホを見るときと同じストレートネックになる。さらに、キーボードを打つときはひじを上げ、手を少し浮かせるので、僧帽筋など肩周りの筋肉は過度の収縮した状態。その状態が続くと筋肉は収縮を緩めることができなくなり、次第に柔らかさを失っていく。つまり筋肉が硬くなり「肩こり」が起きる。
悩ましいのは、スマホにしろ、デスクワークにしろ、それを完全に「断つ」ことはほぼ無理だということだろう。だとしたら、何らかの方法で硬くなった筋肉を緩めるしかない。
世界的な筋肉研究の権威で東京大学名誉教授の石井直方氏に師事し、自らも同大大学院で筋肉について研究したパーソナルトレーナーの比嘉一雄氏が、発売したばかりの著書『【動画付き決定版】ストレッチメソッドBOOK』に収めた77のストレッチの中から、「首こり(ストレートネック)」「肩こり」「腰痛」という三大不調をピンポイントで改善するプログラムを紹介してくれた。
比嘉氏は言う。
「不調対策のストレッチは、本では順番を付けてご紹介しましたが、自分のやりたい順番に変えて行っても構いません。朝、昼、夜に分けて取り組んでもいいでしょう」
重要なのは続けることだ、と。
まずは、「首こり」「肩こり」を同時に改善するストレッチから紹介していこう。