なぜラジオは3時間の生放送でも聞き続けられるのか? ラジオDJとして25年、第一線で活躍し続ける秀島史香さんですが、実は「もともと緊張しがちで人見知りで心配性」といいます。そんな秀島さんだからこそ見つけられた、誰でも再現できる「人が聞き入ってしまう会話のレシピ」を一冊に詰め込んだ『なぜか聴きたくなる人の話し方』からの連載。今回は、自分以外の人の「視線」を借りてみるとわかることについてご紹介します。
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■福山雅治さんの「近さ」の秘密
ラジオは、話す人が「素」になれる空気があります。
その理由は、コンパクトなラジオブースがラジオDJにとってパーソナルな空間になるから? 届くのが声だけだから? それとも、送り手受け手と関係なく一緒に番組を盛り上げ時間を過ごす「仲間」のような気持ちになるからでしょうか?
その心理的距離感の近さから、ラジオではこれまで知らなかった出演者の一面にふれることができて、新たな魅力に気づくこともしばしばです。
例えば、福山雅治さんもその一人。言わずと知れた『福山雅治のオールナイトニッポン』(ニッポン放送)は大人気の番組でしたし、1996年から担当してきた『福山雅治のSUZUKITalking F.M.』(JFN系列)、それを2015年にタイトル変更した『福山雅治 福のラジオ』(同)、さらにはコミュニティ放送での実験的放送が人気を博し全国放送となった『福山雅治と荘口彰久の「地底人ラジオ」』など、長く愛され続けるラジオのレギュラー番組をお持ちです。
甘い歌声に端正なルックス、正統派二枚目俳優の印象からは想像できない「下ネタ」や、芸人さんも真っ青になるレベルの爆笑トークは国民的「知る人ぞ知る」エンタメとして絶大な人気を誇ります。長年のファンはもちろん、若い世代に対しても「気さくなおもしろ兄さん」として、ますますファンを増やしています。
一番の魅力は、やはりあれほどの大スターでありながら、聞いている私たちの隣にいるような「近さ」を感じさせてくれること。その独特の距離感は福山さんの「憑依力」によるものではないかと思っています。